講師紹介
木越 康(きごしやすし)
1963年生まれ。大谷大学真宗学科卒業。大谷大学院博士後期課程満期退学(真宗学専攻)。私学研修福祉会国内研修員。大谷大学短期大学部助手。大谷大学短期大学部専任講師。大谷大学短期大学部助教授を経て 現在に至る。
主な著書(共書)に、『キリシタンが見た真宗』(東本願寺出版部) 『仏教とキリスト教の対話』(法蔵館)『正象末和讃を読む』(東本願寺大阪教区)
【講師からのメッセージ】
皆さんと一緒に、鎌倉期の仏教者親鸞によって作られた『正像末和讃』を読んでいきます。『正像末和讃』は、親鸞最晩年の著作です。末法の世を迎え、ますます激しくなる人間の欲望の世界が、「五濁の世」として描かれています。
「五濁」とは、人間によって創り出される五つの「汚れ」を意味します。それは、時代の汚れ、思想の汚れ、心の汚れ、存在の汚れ、そして命の汚れです。親鸞は、釈尊が入滅されてから遥か遠いこのような末法の世を生きねばならない事実を「悲しみ、泣け」と訴えつつ、そのような世を生き抜く智慧を、詠いあげています。
如来大悲の恩徳は 身を粉にしても報ずべし
師主知識の恩徳も 骨をくだきても謝すべし
この親鸞のもっとも有名な和讃も、『正像末和讃』に詠まれます。私たちはこれまで、いったい何のために身を粉にして働き、骨を砕いて生きてきたのでしょうか。それが五濁の世を形成してきたもとであるとするならば、私たちはこれからいったい、何に身を捧げて生きていけばよいのでしょうか。
親鸞はそれを「如来の大悲」であると言います。一緒に親鸞の言葉を読み進めながら、その深意をたずねてまいりたいと思います。
(木越康)