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社会を見る眼
 卑屈か傲慢か
  第67回 <2004年1月>

ロゴイメージ いまの子どもたちのほぼ三人に一人は、「この家に生まれてよかった」という家庭への肯定感情をもてないでいるという。また、「自分は生まれなければよかった」と思うことが、「よくある」「時々ある」と答えた小三から中三の子どもが、三十四%から三十八%もいるという調査があるそうである。(芹沢俊介『「新しい家族」のつくりかた』)

 自分を受け入れてくれる居場所が家庭にない。自分を肯定してそのまま受けとめられない。だから他人に対し自分に対して攻撃的暴力的になっていく。これは実は現代人に深く潜む課題なのではないか。

 人間は有限である。しかし、また無限を知ることができる存在である。
 ところが、「みんな限りがあるんだ。だから人間なんて所詮つまらんもんだ」と悟ったように言う人がある。人間の有限性だけに固執して自分で自分を決めて卑屈になっているのである。反対に、「人間ほど偉いものはない。人間の能力は無限である」と、人間万能を言う人がある。人間の無限性だけに固執して、自分を夢みて傲慢になっているのである。

 卑屈な自己否定も、傲慢な自己肯定も、実は己れの真相を知らぬ固執の表裏にすぎない。

 人間は、無限なる世界を仰ぎ、それに照らされたとき、自分の有限なることに安んずることができるのである。子どもたちは、無限に照らされたことのない大人をまねて、いま大きな迷いの中をさまよっている。 (邦)

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