広報紙『サンガ』
TOP > 広報紙『サンガ』 > バックナンバー > リアル・タイム
バックナンバー
リアルタイム

 チャンネル争いへの郷愁
武田 定光(江東区・因速寺) サンガ第84号 <2006年11月>

イメージ 映画『オールウェイズ―三丁目の夕日―』(山崎貴監督作品)では、昭和30年代に、テレビが初めて我が家にやってきたときの情景を再現していた。もちろん白黒テレビだが大人も子どもも、躍り上がってテレビに夢中になった。昭和50年代にはカラーテレビが普及し、白黒テレビからカラーテレビへと需要が伸びた。我が家でも、カラーテレビが届けられる日を、いまかいまかとこころ待ちにしていたことを思い出す。ところが現代は、テレビといえば誰もが「カラーテレビ」を思い浮かべる時代になり、さらに「一家に一台」から「ひとりに一台」というような時代に入った。

 かつてはどの家庭でも見られた「チャンネル争い」も現代では、ほとんど耳にしなくなった。リビングでひとの見ている番組が気に入らなければ、自室に戻りテレビを見れば争いは起こらないからである。「争い」が少なくなったのだから、それはよいことかもしれない。争いごとを減らしてくれるのだから、大げさにいえば、文明発達のお陰とも言えそうである。

 しかし、なにか寂しい感覚も残る。ひととチャンネル争いしながらも、そこにはなにか大切なものを感じていたように思える。兄弟でチャンネルを争って、たとえ弟に勝ったとしても、あの後味の悪さはなんともいえない。負けたときの怨みよりも、勝ったときの後味の悪さが記憶に残っている。小さな衝突を繰り返すことで、大きな衝突を回避する直感力を家庭は育むように思えてならない。


戻る

Copyright(c) 2004−2007 HigashiHonganji ShinsyuKaikan All right reserved
(このホームページの記事・画像の無断転載を禁じます)