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 人生の持ち場
狐野 秀存(大谷専修学院指導主事) サンガ第83号 <2006年9月>

イメージ いま生きている時代はどういう時代なのだろう。

 見田宗介は3つの時代区分によって、現代日本の特質をあらわしている(『社会学入門』岩波新書)。

 敗戦により既成の価値が崩壊した1945年から60年ごろまでは「理想の時代」。高度経済成長がはじまった1960年から70年代なかばまでは「夢の時代」。庶民宰相ともてはやされた人が、ピーナッツ1つが1億円というからくりで失脚した、1970年代後半からは「虚構の時代」。

 さすがに現代社会学の泰斗と目される人だけあって、私どもの感覚をぴたりと言いあてている。

 ただし、見田氏が戦後日本を15年ごとに時代区分したこの文は1990年に書かれたものである。「虚構の時代」のあと、2005年までの15年は「何の時代」と名づけたらいいか。それは読者にまかされている。見田氏からの宿題である。

 この15年間を、せつない思いをいだいて過ごしてきた人もいるだろう、虚構の中で夢の続きを見てきた人もいるだろう。いずれにしても一番悲惨なことは、時代を「空過」することである。

 すでに2006年に入って、私どもは新しい「時代」を生きている。自分の「人生の持ち場」がはっきりしなければ、どんな時代も空しく過ぎてしまう。


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