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 情報という妖怪
狐野秀存 (大谷専修学院指導主事) サンガ第73号 <2005年1月>
イメージ 仏陀の教えは単純明快である。

  「生まれによって賤しい人となるのではない。
  生まれによってバラモンとなるのではない。
  行為によって賤しい人ともなり、
  行為によってバラモンともなる。」

※尊い人の意
(『スッタ・ニパータ』)


 人はみずからの欲するところにしたがって自分自身になっていくことができるという、大いなる自由の宣言である。

 情報という妖怪が今日の世界を席巻している。心痛むニュースを耳にしない日はない。一つひとつの出来事が、当事者にとっては言葉もでない、立ちつくすしかないことであったとしても、それが単なる情報として流されると、テレビの前の茶の間の団欒の話題に、あるいは喫茶店でコーヒーを飲む合間の新聞の読み物として消費される。

 すでに、1946年、第2次世界大戦が終結した翌年、マックス・ピカートは現代人の精神構造を「内的連関性の喪失」と指摘した。

 それから60年近くたった今日、自分が誰であるのかを考えるいとまを与えないほど、猛烈なスピードで情報が通り過ぎていく。情報のシャワーをあびて、一種の精神錯乱状態を呈しているにもかかわらず、私どもはいっぱしの物知り顔をして、自己を失っていることにさえ気付かない。

 仏陀が教える、人は願いによって自己を形成するという原点を回復しなければならない。


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