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老いるについて
 介護という仕事(5)
浜田クリニック 浜田晋 第46回 <2000年7月>

 あまり意味がないだろうが、一応まとめておこう。

1.居場所を確保すること。ある老人を三人の娘が交替で一週間ずつ看(み)ている。老人のたらい回しである(本人は一人で暮らせると頑張るが、それができないから困る)。家にはいろいろと事情があって三人のバランスが崩れると、施設送りしかなくなる。「居場所を確保せよ」といっても具体例となると容易なことではない。


2.夜・昼のリズムを回復させる。昼起こしておくだけで夜眠るようになった人もいる。夜は睡眠剤を使うべきである。「眠剤を飲ますとぼける!」という医者がいるので困る。今日眠剤はいろいろとあって、その人にあった薬をのませてゆっくりと夜眠らせたがよい。ずいぶん違ってきますよ。


3.日中まわりの人が一声かける。患者も介護者も閉じこもりが一番悪い。


4.少々のことは大目に見る。手で御飯を食べるくらいは見逃す。イチイチ修正、矯正しようとしない。


5.むきになって教えたりしない。「今日は何月何日ですか?」などと問わない。呆け老人は時空を超えた存在である。別に今日何月何日だって、生きていくのにはどうでもよい。介護者の意識改革が望まれる。


6.呆けとは闘わない。受け入れる。強迫的な家族がある。いつかNHKスペシャルでやった失語症の患者…呆けでない…に野菜の名前を一生懸命家族が教えるのを見たが、おろかである。元エリート社員に家族がしつこくなすびの名前を問うている。彼の心はいたく傷ついているだろう。


7.子ども扱いしない。幼児語を使ったりしない。


8.介護者はむきにならない。軽くいなす。


9.たとえば、おしめを取り替えながらおならプーッとされると、お尻をピシャリとたたいておこる。なんでもがまんするとストレスがたまる。笑いもまた必要。


10.他人に愚痴をこぼす。他人の手を借りる。近所の人に散歩に連れ出してもらう。何もかにも背負い込まない。「はずかしいこと」と秘密にしてはいけない。


11.介護のノウハウの本(この文もか?)を信じない。


12.それよりも介護の上手な人(たとえばある分裂病者など親の面倒見がすばらしく上手)から直接学ぶ。


13.明日はわが身と考える。してほしくないことはしない。


14.ちょっと待てよ!と一呼吸おいて考えてみる。


15.「やさしさ」だけでは通じない。しかしやはり呆け呆けになっても面倒を見続けることが人間のやさしさの究極であろうか。


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