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老いるについて
 私の1週間
浜田クリニック 浜田晋 第25回 <1997年1月>

 私はこの10月23日で、満70歳となった。

 それからまもなくの11月10日、日曜日。

 私の妻(69歳)。乳癌と診断され11月1日国立癌センター入院−ところがなんと、入院手続きをとって、病室(4人部屋)に入って、看護室によばれていろいろ聞かれて、ナースが「ところで今日は金曜日、明日から3連休、どうなさいますか?」と聞かれて、2人ともキョトン。

 しばらくして「あーそうか…外泊しろということなんだな」と気づき、すぐ外泊、家ヘ…。癌のため入院ということで肩に力が入っていたのにがっくり…2人でだまって家にかえる。

 そして5日、帰院、検査。「もう外泊してもいいですよ」と言われ、またビックリ…。明日、手術という前日まで妻は、わが家のベランダで、チューリップの球根などを植えていた。そして11月10日、「じゃあ行ってくるね」と手をふって、うれしそうに(まるで遠足にでも行くように)病院へかえった。

 翌11月11日、私は5時おきである。久しぶりで眼ざましなどかけて−ところが前夜ひとりでなんか寝られるものでない、たとえ眠剤をのんでも−ピョコンととび起き、軽い食事をして、タクシーで病院へ。

 手術は簡単にすんだ。でも3時間位は、「家族待合室」でひとり待たされる。手術は10名。大勢の家族が、広い待合室で待っている。ひとりで寝ている人。数名、田舎から出てきたのであろう、大声でしゃべっている。なつかしい東北弁。ちょっと間いてみると10時間待つという!私は二一時間−でも相当長いよ−身のおきどころがなく、待つ身はつらい。「なむあみだ仏」ととなえたりしている。それほど、仏を信じてもいないくせして。

 妻は元気いっぱいで、リカバリー(恢復室(かいふくしつ))から出てきた。「終わった!と健康な手でガッツポーズなどして。ナースがあきれて「お元気ですねえ…」と、ニッコリ私の顔をみてほほえむ(美しいナース−少なくとも、そうみえた…)。なお妻は、そのことをあとで全然記憶がないという。

 毎日の病院通いと、診療活動(1日数十名の患者を診る)。家事は、思いのほかきつかった。

 でも、今日は1週たった土曜日。私は朝おきて台所にたって…ハムエッグをつくったのである。


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