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インタビュー
 安田 祥子  由紀 さおりさんに聞く
 母が歌ってくれた歌、子供達に伝えたい。
写真イメージ
 幼い日に聞いた歌がある。幼い日に帰ることのできる歌がある。
ステージにはピアノと椅子だけ。そして澄みきった歌声。目をつむれば懐かしい情景が甦る。
童謡、唱歌、日本の歌を歌い継ぐ由紀さんと安田さん姉妹の「童謡コンサート」も20年を迎える。
美しい日本の言葉と歌を21世紀の子どもたちに残したい、そんな思いで歌い続けた。


 「童謡コンサート」は、6年前に亡くなったお母さんの「姉妹で同じ音楽をやっているのに、なぜ一緒に歌えないの?」という一言がきっかけだった。親孝行だから1回くらいは一緒にやろうと思った。それが評判となり、全国各地へ招かれた。亡くなるまでお母さんも一緒にまわった。お母さんは子育てに関しても名プロデューサーだった。したいようにさせる、それがお母さんの子育ての極意だったようだ。

由紀 姉も私もそれぞれの音楽の道をめざしました。挫折しそうになってやめたいと思うこともありましたが、そんなとき母は「私がやらせたわけではないし、やりたいと言ったのはあなたなんだから、あなたが決めればいい」と、最後はいつもそうでしたね。

安田 手内職をして私たちを育ててくれたんですよ。よくセーターなんか編んでくれた。

由紀 物のない時代でしたからね。手作りの服には親の思いが込められています。今はあり余っている時代ですよね。家でお母さんが必死に習ったプリン作っても、「駅前のケーキ屋さんのほうがおいしい」って子どもが言う。お母さんもカックンとなって「じゃ、買っていらっしゃい」となってしまう。親が子を思う気持ちをどう伝えるか、とても難しい時代ですね。

 子どもたちが人に対して話す訓練が日々できなくなっていますね。私たちの子どものころは、例えばお魚屋さんへのお使いでは「今日は何が美味しいか、どういう料理がいいか聞いてらっしゃい」なんて母に言われてお金を持たされて買い物に行ったじゃないですか。そうするとおじさんが「これ煮付けだよ」ってカレイをとってくれた。それを母に伝える。電車に乗っても車掌さんが切符を切ってくれて、「おはよう」とか「今日は遅いね」「寝坊したの」なんてこともあった。今はスーパーやコンビニでも自分で欲しい物を選んでお金払えばそれで終わってしまう。

安田 便利になったけど、大事なことがどんどん抜け落ちていくような感じですね。

 痛みを感じられないような少年の殺人事件が起きています。ゲームオーバーになると亡くなった人が立ち上がって、また最初からゲームができるというような感じなんでしょうか。痛さとか怖さとか、そういうのが実体験できていない。みんな空想の中のこと。出会い系サイトだってそう。 極端から極端へいく。物のなかった時代がすべていいとは言いませんけど、やっぱり創意工夫があって、我慢しなければいけないこともいっぱいあって、それが人間の成長に大きな役割を果たしていると思うんですね。

由紀 母が私たちに歌ってくれた歌を、21世紀の子どもたちに手渡ししたい、そんな思いで歌っています。



やすだ・さちこ(写真 右)
小学生時代、ひばり児童合唱団に所属。童謡歌手として活躍。東京芸術大学、同大学院修士課程終了。二期会会員・東京室内歌劇場同人。東京芸術大学講師を18年間続けた。ボイストレーナーとしての功績も大きい。「日本の歌曲」リサイタルも多く、多くのファンがいる。

ゆき・さおり(写真 左)
小学生時代、ひばり児童合唱団に所属。童謡歌手として活躍。その後、NHKの歌のお姉さん、アニメ声優、CMソング等で活躍。1969年、「夜明けのスキャット」でデビューし、爆発的人気となる。女優としても「家族ゲーム」で助演女優賞を受賞。テレビでも大活躍。NHK連続テレビ小説「ファイト」に出演中。



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