お内仏(仏壇)の大小にかかわらず、必ず揃(そろ)えていただきたい仏具には、前回までお話してきました三具足(みつぐそく)(花瓶(かひん)・香炉(こうろ)・燭台(しょくだい))のほかに、仏器(ぶっき)があります。仏器とは、米飯を仏前にお備えする際に使う仏具(器)をいいます。そして、仏前にお備えする米飯のことを「お仏供(ぶく)」といいます。あるいは、お仏飯(ぶっぱん)、お鉢(はつ)、仏餉(ぶっしょう)ともいわれます。
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お仏供は、円筒形の筒(B )に米飯をつめ、A でお仏器につき出して盛ります。この道具を盛槽といいます。
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以前から、お仏供をお備えする理由には報徳の義があるといわれています。これはどういう意味でしょうか。
申すまでもなく、私たち人間は、時と共に老い衰え、病にもなり、ついには死を迎えなければなりません。こういう私たちに阿弥陀如来は、永遠にして不滅のいのち「無量寿(むりょうじゅ)」を念仏申す人に与えてくださいました。
しかしこの無量寿とは、いつまでも若くて、老いも衰えもしない長生不死の身をたまわったということではありません。現実の、老い、病み、死から生じる迷い・苦しむ身に安らかさを与えてくださるのです。それは、老、病、死の現実を引き受けることのできる身になったということでしょう。
米飯は、私たち人間の生命を保持し生かすための食べ物(主食)です。この大切な食べ物を自分だけのもの(我執・我欲)にせず、無量寿といういのちを与えてくださる阿弥陀如来にお備えするという、報徳の心がお仏供を生んだものと思われます。そしてまた、お備えしたお仏供をいただくことをとおして、無量寿の心をいただいてきたのでありましょう。
お仏供は、毎朝炊き立てのご飯を一番最初に盛槽(もっそう)で形を作り、仏器に盛ってお備えします。正式には、朝のお勤めの後にお備えし、正午にお下げします。お備えする場所は、お内仏の中央上段(ご本尊の前)になります。
近年、核家族や一人住まいの方が多くなり、また嗜好(しこう)の多様化も加わり、朝食をパンにするとか、夜にご飯を炊くというご家庭が増えてきました。これまでのお仏供の習慣が合わなくなっています。まずは、お仏供の意味を熟知することから始めていただきたいと思います。