通夜のお勤め、住職のお話(法話)、そして弔間者の焼香(焼香については、第五回を参照)が終わりますと、喪主(もしゅ)または喪主にかわる遺族の代表のあいさつがあります。明日の葬儀をひかえて取り込んでいるため、あいさつは、短く要点をおさえた内容がよいでしょう。その一例を紹介します。
「本日は皆さま、お忙しい中を亡き○○の通夜に駆けつけてくださり、心からお礼申し上げます。(次に、亡くなるまでの経過や家族の心境などを語られたり、また、葬儀当日のご案内などをされるとよいでしょう)
お急ぎでない方は、このあと簡単な食事(通夜ぶるまいのある場合)を用意いたしましたので、どうぞお召し上がりください。本日は、どうもありがとうございました」
この「通夜ぶるまい」といいますのは、通夜にお参りされた方にお斎(とき)(葬儀・法事などの仏事のときにいただく食事)でおもてなしすることをいいます。お斎は、飲み食いすることを楽しむための食事ではありません。亡き人を偲びつつ、あるいは法話を聞いたものがそのことをお互いに語りつつ会食する(仏さまと共に仏弟子が食事をいただく)という、仏事のひとつとしてあるものなのです。
お斎を共にいただきながら「あなたは、必ず死を迎えなければならない身をこれからどう生きますか」という、亡き人からの問いかけを深く語り合えますならば、亡き人のそしてふるまう側の願いに適(かな)うことでありましょう。
ともすると、急ぎ駆けつけてくださった方を十分もてなしたいという気持ちから、派手な食事内容になりがちですが、好ましいものとは言えません。食事の中身よりも、仏事としての中身を大切にしていただきたいと思います。
また、昨今、通夜の席で「通夜ぶるまい」をいただきますと、生寿司や刺し身などの料埋が目立つようになりました。本来、仏事における食事は精進料埋(肉・魚介類を用いない、野菜や穀類、海草類の料埋)なのです。このことも十分心し、改めていきたいものです。(精進の意味については、別の機会に譲ります)