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季節風
 「うさぎ追いし/かの山/こぶなつりし/かの川」。誰もが一度は口ずさんだことがある「故郷」。卒業式の季節、この曲で送られる我が子や孫の姿を見る方も多いであろう。だが福島第一原発事故による放射能汚染によって故郷を奪われている被害者には、望郷の思いをかきたてるがゆえに、複雑な感情を生む曲となった。それは悲しさだったり怒りだったり……
 この事態を招いたのは誰なのか。直接的には事故を起こした東電であり原子力行政を推進してきた国であるのは言うまでもない。復興や保障の問題も当然である 
 しかしながら、便利で豊かな社会を夢に描いて歩んできたのは私たち一人ひとりである。茨城の農村に住む私もいつの間にか山川に兎や小鮒がいることを忘れてしまった。故郷を奪われた人たちの苦しみや悲しみに身を寄せ耳を傾けつつ、これ以上の犠牲を出さない社会を求めてゆきたい。

 (延)

広報紙『サンガ』第116号(2012年3月1日発行)より転載


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