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季節風
 「朝焼け小焼けだ 大漁だ 大羽鰮(イワシ)の 大漁だ。 浜は祭りの ようだけど 海のなかでは 何万の 鰮のとむらい するだろう。」金子みすゞの『大漁』という詩だ。私たちの感覚では、イワシがたくさん獲れるのは嬉しいことであり、お祭り騒ぎになるのは、とてもよくわかる。しかし立場を逆転して考えてみよう。イワシにとってみれば仲間が大量に殺されたのであり、何万の仲間の葬式をしているということなのだ。そういう見方は、私たちにはなかなかできるものではない。金子みすゞという人は、とても鋭い感覚をしていたと思う。

 そういう生き物のいのちを、私たちはいただいて生きている。そして、私たちのいのちを生かしてくれる血や肉や骨になってくれているのだ。そのことを思う時、感謝と申し訳なさの気持ちで、手を合わせるよりほかはない。「いただきます」「ごちそうさま」と言いながら。そのことを通して、自分のいのちですら、若い・老いた、健康・不健康といった良し悪しの価値だけで見てしまいがちな私たちに、そうした価値観を超えて生きることを教えてくれるような気がしてならないように。

(ア)


広報紙『サンガ』第93号(2008年5月1日発行)より転載


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