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仏事一口メモ
 お齋
  第56回 <2002年3月>

 これまでにも申してきましたようときに、お斎(とき)とは仏事のときにいただく食事のことをいいます。法要の儀式が終わりますと、お斎に入ります。お斎のもてなしについては、自宅で作るか、仕出し屋から取るか、料理屋へ出かけるかのいずれかになりましよう。

 座席は住職が正客(しょうきゃく)になります。儀式の執行者であり仏法を説いてくださる方です。そして、故人と縁の深かった人などからの順に着座していただきます。施主や家族は末席になります。事前に氏名を記した席札を用意し、配膳のときに各席につけておくとスムーズに座ることができます。

 全員が着座しましたら、施主または施主にかわる人は下座より挨拶します(第55回参照)。会食の始まりです。

 法事のお斎は、本来、精進料理になります。精進料理とは、殺生しないという教えから、魚虫鳥獣の肉を使わない料理のことをいうようになりました。もともと精進には、たゆまず仏道を実践するという意味があります。それが仏教徒にとっては魚虫鳥獣の肉類を食べない意味へ転化したようです。

 法事は亡き人をご縁にして、阿弥陀如来の教えにあうという大切な集いです。そのお心にふれたとき初めて、亡き人が仏=尊いこととして、手が合わされるのでありましょう。ご家族さまの死が、いのちを大切にするという精進(聞法求道につとめはげむこと)のお心を伝えてくださっているのではないでしようか。

 ですから、決して豪華な料理にする必要はありません。大切なことは、住職との語り合いや親戚同士の語り合いです。そして、生きることの意味に気づいていくならば、精進の意味にも適(かな)い、意味のあるお斎の席にもなりましょう。

 昨今、法事のお斎で精進料理は見られなくなりましたが、そのお心だけは伝えていただきたいと思います。


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