前回は、お内仏に必要な仏具「三具足(みつぐそく)」(花瓶(かひん)・土香炉(どこうろ)・燭台(しょくだい))のうち、花をお供えする花瓶に関してお話しました。今回は、花瓶と燭台の間に置く土香炉のお話です。
土香炉は、陶器の香炉のことで、線香を燃やすときに使います。線香は、香炉の大きさに応じて適当に折り、火をつけてから横にたおして灰の上に置きます。火の付いた方が左側になります。
よく、線香を香炉に立てる方もありますが、浄土真宗では立てることはいたしません。その理由について考えてみたいと思います。
|
|
毎日のお勤めの前に、線香を燃じます。線香はどんなときにも立てません。香炉は三本足の一本が正面になるように置きます。
|
第1は、横に寝かせるのが本来的な形だということです。線香を燃やすことを燃香(ねんこう)といいますが、燃香はもともと抹香(まっこう)(樒(しきみ)やあせびの葉を干して細かくしたもの)を香炉に盛り火をつけて燃ねんずることで、その代用で線香が使われてきました。つまり、立てるものではなかったということです。
第2は、迷信からの解放です。特に通夜・葬儀の際、線香を一本立てて、その煙が真っすぐ上がるのがいいという考え方があります。真っすぐ上がれば迷わず成仏する(?)ということなのでしょうか。しかし、亡くなっていかれた方と線香の煙との因果関係は全くありません。迷わされないように。
三番目は、危険性の問題です。参詣者が多く何十本もの線香を香炉に差しますと、線香が燃えつき灰の中が熱くなります。すると、後から差した線香が下から燃えだし、線香が倒れて火災の原因にもなりかねません。
さて、線香は、朝晩のお勤めの前に燃じます。お勤めをなされない場合でも、お線香を燃じてから合掌礼拝(らいはい)されるようにしましょう。
香を焚(た)くことは、お釈迦さま当時から行われていたといわれています。現在は、お内仏(仏前)を荘厳(しょうごん)するときには必ず香を使います。薫香(くんこう)(かおり)が平等に行き渡ることをもって、仏さまの教えが平等で普遍的であることを表現しています。薫香をもって仏さまの世界(浄土)を表しているのです。
毎日のお勤めと香のかおりをとおして、仏さまのこころを学んでいただきたいと思います