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仏事一口メモ
 ご本尊とは(4)
  第34回 <1998年7月>

 山口県萩市に河村とし子さんという方がおられます。河村さんは兵庫県明石のご出身で、熱心なクリスチャンの家庭に生まれ育ちました。それが縁あって、浄土真宗の熱心な家庭に嫁がれました。ご両親(義父母)は、大きなお内仏(ないぶつ)のまえで、朝晩、ていねいにお勤(つと)めをしていたそうです。

 キリスト教では形あるものを拝むような偶像崇拝(ぐうぞうすうはい)を禁じます。偶像を拝むような宗教は程度が低いと教えられていた河村さんは、「金ピカの大きな偶像を拝んで何やらわけのわからないお唱えごとをしている気の毒な人」とご両親をみていたようです。

 確かに、お内仏のご本尊に手を合わすわけですから、偶像を崇拝しているように思われても仕方ない面もありましょう。しかし、後になって河村さんは、これが間違いであることに気づきます。

 河村家では「人間として一番大切なことは、お寺へ参って仏法を聴聞(ちょうもん)すること、仕事というものはお聴聞をした余(あま)りがけで仕事をすればいい」が家訓(かくん)だったそうです。

 あることがきっかけで仏法を聴聞するようになります。あるとき「今では自分で生きて、自分で求めて、自分で苦労していると思っていた私が、自分で生きているんじゃなかった、人間を越えた大きな大きなおかげさまで生かされている私だった」と気づかれます。そう気づいた瞬間、念仏申していたと言われます。

 念仏申すとは、これまでお話してきました口に称(とな)える名号=南無阿弥陀仏、ご本尊のことです。本当に尊いことにあうことのできた瞬間だったのでしょう。日課にしていた朝晩のお内仏でのお勤めと、書かさなかった仏法聴聞をとおして、仏さまにあう喜びと生きる喜びを実感していかれます。決して、目の前の仏さまを偶像として拝んでいたのではありませんでした。

 木像本尊も絵像本尊も名号本尊もみな、念仏を申すことを私たちに教え示しているのです。このことを念頭に置きながら、次回はご本尊の両脇に掛ける「お脇掛(わきが)け」についてお話しします。

------------------------------------------------------------------------------参考=『ほんとうのしあわせ─仏縁に恵まれて真の人生』河村とし子著 200円 東本願寺出版部刊 お求めは、真宗会館まで。


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